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2023.03.21 書棚

「心」が分かるとモノが売れる

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「心」が分かるとモノが売れる 鹿毛康司著 2021年5月24日

広告宣伝は“何を伝えていくんだろう?!”という問いかけは続いております。さとなお(佐藤尚之さん)のファンベースを読んでいくうちに、もっと何かが必要だなぁと思っているときに、この本に出会いました。鹿毛康司さんは、従来の広告宣伝から、人間の心を探り、周波数を合わせることで、価値を伝えることをされていると書かれてあります。機能価値、情緒価値、未来価値に加えて、心の価値で制作されていることが事例を交えながらわかりやすく紹介されています。ただ、たんなる手法ではなく、自分自身を掘り下げ、人間性を高めることで“何を伝えるか”に気づく(本では、周波数を合わせる)と教えてくれています。わたしたちもお客さんに寄り添われている個人や会社さんの広告宣伝づくりに励みたいと思います。

★この本から学び、実践したいのは、わたしたメンバー全員が、自らのネガティブな思いと向きあい、それぞれの持って生まれた役割、経験、感じていることを丁寧に掘り下げ、潜在意識の人類共通部分にある周波数を得て、お客さん自身も気づいていない「心の声」を聞いて、愛情を込めた広告をつくりに励むことです。

引用&備忘メモ

●お客さまが気づいていない心を理解する
企業が顧客を単なる「モノを売る相手」とみなす時代は終わりました。「一生活者」として一人ひとりに目を向け、その思いや心持ちを大切に扱うことが求められています。中でも注目されているのがお客さまを理解することの重要性です。お客さま自身が自覚しているニーズにとどまらず、お客さま自身も気付いていない「心」までも理解し、お客さまの満足を生み出す時代になっているのです。「心を知ること」の重要性を明確にしていきたいと思います。P.15引用

●自分の生き方が道を照らす
道なき道を照らすランタンになり得るのは自分自身の「心」です。みなさんこれまで、様々な生き方をされてきたと思います。うまくいったこともあれば。失敗や挫折もあるでしょう。自慢できることもあれば。人として弱い部分も、コンプレックスだってあると思います。こうした経験と、そのときに感じたことを丁寧に掘り下げていくと、お客さまの心に届く周波数が見つかります。
水面に出ている氷山の一角ではなく、水面下に深く潜り、その深層心理の中から人を動かす何かを探し当て、そこに向かって愛情を込めて、解決策を差し出す。P.30引用

●ニーズ対応型から心対応型へ
「おたくの塾では子供弱点をカバーしてくれますか」「どんな勉強方法を提供してくれますか」この時期、親御さんの塾への問い合わせはこれらの内容が大半を占めていました。こうしたニーズをそのまま満たす「機能訴求」を目指すなら、ベスト個別学院が打ち出すべきメッセージは次のようなものになるでしょう。「今こそ、勉強しよう」「取りこぼしの穴を埋めよう」「スピードについていけるように支援します」~中略~ 心が動くかを自問自答しました。返ってきた答えは「ノー」でした。自分でもどうしたらいいのか分からない。苦しくてたまらない。そんなときに「勉強しよう」と言われても、とても受け入れられない。でも助けてほしい。心が悲鳴を上げていました。その「助けて」の心に響くのはどのようなメッセージでしょうか。たどり着いたのは「一緒に計画をたてよう」でした。「一緒に勉強しよう」ではなく「一緒に計画をたてよう」と声をかけられたとき、こわばっていた過去の自分の心がほぐれるのをはっきりと感じました。

●自分としっかりと向き合うこと
こうしてネガティブな思いと向き合うことは、人が誰しも持っている感情をキャッチする「周波数」を得ることにつながります。この周波数を合わせることで、他の誰かの心のツボが見えてくるのです。P.45引用
表面のきれいごと、「心のパンツ」をはいている状態。誰の心のなかにも、目を背けたくなるようなドロドロした何かがあります。それはコンプレックスかもしれません。だれにも見せたくない弱い部分、自分でもウンザリするような邪悪な思いかもしれません。普段は前向きに明るく生きていくために、しっかり封印していることでしょう。しかし、インサイトを理解するには、このダークな部分をのぞき込む必要があります。臆することなく、自分の中にある暗闇に足を踏み入れてみましょう。どんな心が浮かび上がってきたでしょうか。
P.99引用
自分の心を深く検証し、自分の心を揺さぶる何かを探り当てます。自分自身のインサイトを導き出す力をつけることで、他社のインサイトを探し当てる力がつくということです。逆に言うと、自分のインサイトも分からないのに、他社のインサイトを理解するというのは到底無理な話だということです。
自分の心の奥底にあるダークサイドをのぞき込むと、お客さまの心を探る視野が広く深くなります。心のツボを探り当てるには、一人の客としての自分の行動や感情、意識に目を向け、克明に再現すること、これらを生み出す自分の心理を深く理解することが欠かせません。
P.101引用

【インサイト】直訳すると洞察や物事を見極める力といった意味になりますが、マーケティングの世界では「人を動かす隠れた心理」「無意識に行動をかき立てる心理」といった意味で使われています
P.21引用

●ムシューダの事例「心の価値」私には3人の子供がいますが全員が大の虫嫌いです。「おとう!虫!!」と私を呼びつけ、駆除をせがみます。ムシューダはひょっとしたら、うちの子供たちにとっての「私」のような存在でないかと気付きます。自分の代わりに、衣類に虫を寄せ付けないようにしてくれる。ムシューダがあれば、虫食いがあったらどうようしようと気をもむ必要もなく、自由に暮らせる。これこそが、「心の価値」なのではないかと考えました。テレビCM「ムシューダ そこにいる編」で、最大の特徴は、タンスから3メートルも離れたところから「出てきなさい」と虫を追い出すシーンです。お客さまの「虫に関わりたくない」「虫よけは、ムシューダに任せたい」という心理に応えた描写になっているのです。
P.112引用

●米唐番の事例「心の価値」
機能価値と情緒価値までは既存のマーケティング手法で比較的容易に把握できます。しかし第ヒットさせるための要因はこれだけでは足りません。さらなる成功の突破口が欲しい時、私は機能と情緒価値に加えて「心の価値」を加えるようにしています。
野菜や肉をダメにしてしまったときは「もったいない」、お米に虫がつくのは「申し訳ない」と、“無意識”のうちに言葉を使い分けているようです。そこで、米唐番のマーケティング戦略を考えるに当たり、テーマを「日本の文化を守ろう」にしました。大袈裟なテーマだと思われるかもしれないですが、お米が持つ神聖なイメージにぴったりだと考えました。
あらゆる商品・サービスにおいてコアな機能価値は絶対に必要です。ただ、そこだけではない、別の心の価値で買われている事実もあります。そのことを本人も気がついていないから、「私は心では買っていません。ちゃんと合理的に行動しています」と口にされるのです。ムシューダのような価格帯の低い消費財だけではありません。自動車や家など高額商品でさえも合理的な判断だけで購入されていません。それが人間らしい行動だと私は思っています。お客さまは心を持っています。だからこそ、知らず知らずのうちに心で買っているという当たり前の事実があります。そこをきちんと理解することが商品開発を含めたマーケティング活動の大きな指針になるのです。
P.116引用

●企業の心を体現しているのが企業理念
ここまでは「自分の心」に深く潜り、その心理を探ることで「お客さまの心」を深く理解する方法をお伝えしてきました。そのうえでビジネスに生かすには今度は「自分たちの心」を使うことが重要です。マーケティングは自分だけでおこなうものではありません。組織として活動するわけですが、私たち一人ひとりに人格があるように企業にも人格があり、心があります、この「企業の心」を体現しているのが。企業理念です。企業理念とは、単なるきれいごとではありません。「企業が何のために存在し、社会に対して何を、どのように約束するのか」を示すものです。
P.132引用
マーケティングとは単に「モノを売ること」ではありません。「人に向き合い、人に喜びを提供する活動」だと考えています。モノを売るという販促手法以上の力を広告は持つことができると信じています。
~中略~
一人の親が、子供に愛情いっぱいの食事を食べさせたいと思っている場面を想像してみてください。次に、親が5人いたとしたら、どうでしょうか。5人の親が役割分担をしたとします。
①買い物担当
栄養バランスそっちのけで、ひたすら安い商品を買うことに集中
②材料を切る担当
食べやすさよりも、効率重視
③調理担当
マニュアルに従うことにばかり熱心で、子供の健康状態に合わせて塩分を調整しない
④盛り付け担当
手早さだけを重視し、食欲をそそる盛り付けという発想がない
⑤見守り担当
早く食べるように急かすばかり
極端な例のように思われるかもしれませんが、これこそが今、効率性を追い求めるあまり、さまざまな会社組織で起きていることです。子供に対する愛情という思いを共有できれば、個人に与えられた担当や評価基準を守りつつも、愛情豊かな食事を提供することができるはずです。この愛情こそが、すなわち企業理念なのです。
目の前の仕事に忙殺されていつの間にか企業理念を忘れてしまっているのは、先輩社員や上司かもしれません。そうではなく、「私たちの会社の理念がある。その理念に基づいて未来を創り上げる使命を達成するために、この仕事が重要だ」と説明すれば、新人は嬉々として仕事をしてくれるのではないでしょうか。自分の仕事と理念を結び付ける活動が日常にあれば、こんな素敵な会社はないと思います。くどいようですが、今、マーケティングに最も求められているのは、企業、ブランドとお客さまとの幸せな関係をつくることです。それを意識して、企業の人格をどこまで具体的に注入するかが勝負です。
P.153引用

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