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2022.03.20 ミーティング建設

原価入力するから次の改善がわかる! 女性管理事務職さん

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女性管理事務職さんのWeb会をおこないました。
はじめに、前回の契約後から発注依頼までの業務(後半)の復習をおさらい。
その後、完工後~原価入力~振り返り、改善までの業務を勉強しました。

前回のおさらい

このように前回の契約後から発注依頼までの間、粗利益を増やすために自分たちができることがたくさんあることがわかりました。
また、そこで粗利益を増やすことを一つ一つ積み重ねることが、会社の付加価値づくりになるのを学びました。
それでは、本日の勉強に入りましょう。

完工から原価入力・振り返り(次回の改善)までの業務

今回は、営業循環図の完工から原価入力・振り返りまでの業務について、
先輩の管理事務職さんから、日々の中で実際にされていることを教えてもらったので、
みなさんにお伝えさせていただこうと思います。
なかでも特に、原価入力・振り返りの部分を重点的に掘り下げようと思っています。
ここは、今後の案件ひとつひとつに対して、粗利アップにつながる、
そして自社の粗利アップの手がかりを得られる改善のための大事な業務ですので、
ぜひ、みなさんにも取り組んでいただけたらと思っています。

まず最初に、業務フローを確認したいと思います。
まず工事が完工します。完工したら、
お客さんに請求書を発行してお渡しします。
しっかり満足していただけたうえで、請求書を受け取ってもらったら、
次にお客さんからの入金を確認します。これで、お客さんとの直接のやり取りは完了です。
続いて、業者さんから請求書が届きます。そして、業者さんからの請求書を見ながら、
自分たちで立てた実行予算の金額と、請求書に記載の請求金額の突き合わせをします。
実行予算と異なる項目や金額は無いか、業者さん側で、請求漏れは無いか、
または請求に間違いはないかなどを、一つ一つしっかりと確認します。それが確認できたら、
実際にAccessに業者さんから来た請求金額をAccessに入力します。
案件ごと、発注した業者さんごとに、原価入力を入力する作業です。
業者さんからの請求金額が、最終の原価となります。原価入力が完了したら、最後に案件ごとの振り返りをします。
これは、この後出てくる「工事管理表」を使って、振り返りをしていきます。

工事管理表(工事台帳)の見方

では、その工事管理表についてお伝えしていきたいと思います。
まず、工事管理表とは、Acceessから出すことができる工事案件ごとの工事台帳のことです。
工事管理表を出す手順は、
Accessの原価伝票フォームで、工事案件を選択して、工事管理表 ボタンを クリックすると、
このようなレポートが出てきます。工事管理表に記載の項目としては、
まず、工事番号や顧客名、現場名や担当者などの工事情報。そして、
お客さんへの請求と入金についての情報。そして、
この工事の売上、粗利、粗利率の情報。「契約金額、契約実行予算、」「請求金額、完工原価。」
そして、「契約時の粗利額、粗利率、」「完工時の粗利額、粗利率。」
「完工粗利については、お客さんからの入金金額-完工原価で計算されます。」
自分たちが立てた業者さんごとの実行予算と、業者さんからの請求金額の情報。
業者さんからの請求金額は、この工事の最終の原価ということです。
それが、[業者番号][業者名][実行予算]の所に表示されている名称、数字です。
続いて、[請求額]。これは、業者さんから届いた請求書の金額をAccessに入力したものが表示されています。
そして、[差額]。これは、実行予算-請求額で出された数字です。
元々想定していた実行予算に対して、請求額との差はどれだけあったのか、を確認できます。
工事管理表について、先輩の管理事務職さんからは、
毎月、業者さんから請求書が届いて、原価を入力し終わったら、
工事ごとに工事管理表を紙で出力して、自分たちがやった事に対して、結果、どうだったのか、
というのを必ず確認しています。
そこで振り返りをして、社長に報告します。また、社内全員に、この工事管理表を回覧しています。
と教えてもらいました。

工事管理表の読み取り方

~工事管理表をどんな風に読み取って振り返りをしているかの事例紹介~
内容は、実数字が掲載されているため割愛させていただきます。

原価入力の事例

今説明させていただいた、工事管理表を出すためには、原価入力をしっかりとする必要があります。
Accessに原価を入力しないと、実行予算や請求額、差額というのが出てこないからです。
そのために、PTさんが業者さんから請求書が届いてから~、実際にされている事例をご紹介します。

・見積ソフトを使用している場合(エクセルや市販の見積ソフトも同じ)

PTさんでは、
まず業者さんから請求書が届いて、受け取ります。
その請求書を社内で回覧します。
担当者さん、工務さんに回覧して、請求額や内容に間違いがないことが確認できたら、
先輩の管理事務職さんがエクセルファイルを作成します。
このエクセルは、独自で作成されているフォーマットで、
このエクセルファイルの中に、業者さんごとのシートを作成しているそうです。
下の方に、業者さんの名前がずらっと並んでいます。
業者さんから来た請求書を見て、その業者さんの名前のシートを開いて、
現場名、請求額の税抜き、税込みの金額を、拾い出して、入力、という作業をされているそうです。
これは、Accessに入力する前の事前準備、とおっしゃっていました。
続いて、エクセルファイルの入力が完了したら、
Accessの業者入力フォームを開きます。
先ほど作成したエクセルを見ながら、Accessに業者さんからの請求額を入力します。
Accessへの原価入力が完了したら、
工事管理表を出力します。
そして、先輩の管理事務職さんが一つ一つの案件の工事管理表をチェックし、
振り返り内容などを社長へ報告
振り返り内容などを手書きで書き入れた工事管理表(紙で出力)を社内で回覧
工事管理表を確認することで、次の見積作成への改善につながると教えてもらいました。
現状、この材料の最新の原価はどうなのか、工事管理表で実行予算と請求金額の差額が大きい場合、
どんな原因があるのか、人工の想定が違っていたのか、現場で読み切れていない実行予算があったのか。
先輩の管理事務職さんは、工事管理表の結果を見て、粗利率が下がっていた場合などは、
担当者さんに確認したり、原因を把握するようにされているとのことです。
やった事に対して、結果良かったのか、悪かったのか、
確認するから、何を改善すればいいのかがわかって、次の見積に反映できると教えてもらいました。

・Accessに組み込まれている見積を使用した場合

続いて、
Accessで見積を作成されているT工房さんの事例をご紹介させていただきます。
業者さんから請求書が届き、受け取ります。
そして、Accessの業者入寮フォームで、支払い月(2022.1)を入力して、
業者支払一覧ボタンを入力すると、
このようなエクセルファイルに、データが自動でエキスポートされます。
横罫が工事の案件、縦罫が業者さん、というふうに並んでいます。
これは、Accessの見積請求システムで、見積実行予算作成時に、一つ一つの明細ごとに
業者番号と原価金額を入力しておられるので、このように入力したデータが表示されます。
横罫の業者さんの行には、原価と請求額の行が2段あります。(K工房さんの右横、原価・請求額の行が2段)
この原価の欄に、見積請求システムで作成、入力した原価金額のデータが自動的に表示されます。
その下の請求額の段は、空欄になっており、業者さんの請求書を見ながら、
見積請求で作成した原価に対して実際の請求額を入力できるように、なっています。
そして、このエクセルを出してから、実際の業者さんから来た請求書を見ながら、
業者別、工事別に入力して、縦罫、横罫の合計金額を確認します。
そのエクセルファイルが完成したら、業者入力フォーム、
または原価伝票フォームから、請求金額をAccessに入力していきます。
Accessへの原価入力が完了したら、
工事管理表を出力します。
という流れで、原価入力をされていると教えてもらいました。
PTさんは、見積をAccess以外の見積ソフトで作成して、その原価をAccessに入力している、
T工房さんは、Accessで見積も作成する、すべてを一本化している、という運用の違いがあります。
最終、出てくる工事管理表は同じなので、原価の入力について、2社さんの事例を紹介させていただきました。

工事管理表をみる理由

最後に、先輩の管理事務職さんに、
必ず原価を入力して、工事管理表を見るのはなぜか、をお聞きしてみました。
すると
工事管理表はあくまでも「結果」なので、終わった結果を見ています。
昔はAccessも無く、売上や支払の管理がバラバラだったので、
もちろん今みたいな工事管理表もなかったので、
こんなふうに1案件ごとに結果を確認することができなかった。
ここで、私から
工事管理表を必ず見る、一番の理由は何でしょうか?とお聞きすると、
やっぱり結果気になりませんか?粗利を少しでも上げるために、何度も枝番を作って、
実行予算を組みかえたりして、頑張ってきたのに、結果が分からなかったら、嫌ですよね。
たとえると、勉強をやり続けているけど、ずーっと通知簿が無いみたいな感じかなぁと。
自分たちが毎日頑張った結果、それがどうだったのか、ずっと分からない感じ。
あとは、結果が分からないと、それに対して評価もできないし、評価もしてもらえない。
それを踏まえて、次何を頑張ったらいいのかもわからないですよね。

というお話をお聞きしました。
ちなみに、PTさんでは、
・月末にしめて、
・月頭から~5日くらいまでに業者さんから請求書が届き、 社内回覧
・15日までには、原価を入力
・毎月の15日までの原価入力完了時点で、
工事管理表出力、経営指標昨対の出力が可能な状態、にされているそうです。

今回、先輩の管理事務職さんからお話を聞いて、
やった事に対しての結果を見る、結果を見るから、次にすべきこと、改善すべきことが見えてくる。
会社の粗利確保の要である管理事務職さんだからこそ、
原価入力、そして工事管理表での振り返りが重要だと教えてもらいました。

主宰から総評

・工事管理表から、次の見積の改善へ

工事管理表は、完成出来高が表示されています。
お客さんとやりとりしているのは、見積書になります。
完成出来高から、見積書の値段を引いていくと、
利益が明確に出てくる仕組みになっています。

工事管理表で、完成出来高が出てきます。
お客さまに対して、見積書を出すわけですが、次の機会に見積を改善することができます。

工事管理表をみながら、類似した工事があった場合、
見込みの粗利益が、内製化などで、もう少しもらえるなぁと自社の強みに気づくことが出来る。
また、もしこの案件を外注さんに出していたら、
想定した粗利益を下回っているなぁと気づいて、反省が出来たとしたら、
次にお客さんに出す見積書の売価を上げさせてもらいますよね。
これが一番の根拠です。改善の根拠は見積書を変えるということです。
最終の原価が入った完成出来高が表示されている工事管理表から、
次の見積書作成に改善する根拠が得られるということなのです。

みなさんのお店では、業者さんから請求書が届いた金額を値切ることはないと思います。
つまり、確定原価なわけです。
類似した工事が出た場合に、もし自分たちの食べていくだけの固定費がまかなえてないのであれば、
売価を上げるしかないのです。ということは、見積書の単価を変える根拠になるんです。

次の見積書をつくるときには、同じような工事であれば、絶対に反映してほしいのです。
その根拠になるのが、この完成原価です。

見積書をつくるときには、一件ずつの見積書をつくると思うので、
その根拠となる完成原価が、この工事管理表に出てくると捉えてくれたらいいし、
それが年間の自分たちが食べていくだけの固定費をまかなえきれないのであれば、
原価を値切るのでは無く、やっぱり売価を上げるということになってくると思います。

T住設さんが言われていた原価が変わりにくい、ほぼほぼ同じ原価で、施工できると、
いうことなんですが、それは業務請負の範疇のお話だと思います。
エンドユーザのお客さんで、T住設さんが元請けという立場になった場合は、
今度、外注さん、仕入れ先さんが、ほかの各社さんと同じようなことになってきて、
リフォームの場合は、現場を開けてみないとわからないという追加工事とかが、
出る場合が、往々にしてあります。
その時は、原価が変動しますし、同じように売価も変動しますよね。
追加工事でいただけるし、同じ業種の水道屋さんから、
追加の仕入れが発生したり、外注費が発生したりしますよね。
そういったことが、往々にしてありえることが、リフォーム工事なのです。
最終、部屋がきれいになったからカーテンを追加したいとか、
食器棚を入れてほしいとか、そういったことが頻繁に出てくると思いますので、
追加工事も取り込んだ一つの工事台帳にしているほうが、類似した商品、類似した工事のときには、
非常に根拠のもとになると思います。

・工事管理表の回覧は、社員さんの育成、教育に寄与する

わたしの会社では、工事管理表を紙ベースで、出力して、社員全員が見ています。
見た人がどう感じるかは、それぞれなんですが、原価を知ってくるので、
(これは社内のマル秘情報になるので、そとに出してはいけない守秘義務が発生するもの)
そういったものを知っていかないと社員さんの教育にはならないと思います。
ただ、目の前の仕事をこなしているだけではなくて、仕入れがいくらで、売価がいくらで、
差額がいくらで、いくらの利益が会社に残って、そのなかから自分たちは給料をいただいている。
まさに、社員として、人としてのさんすう教室ですよね。
そこの組み立てができないので、しっかりと回覧して、自分が買ったものの原価くらいは、
しっかりとわかるように、また自分が携わった現場の利益がどれくらいあるのか、
その利益のなかから、自分たちの給料をもらっているんだという
社員さんの育成、教育といったことにも寄与していくということです。
わたしは、そう感じて、回覧をさせてもらっています。

・工事管理表から経営指標へ、会社の舵取りにつながる。

工事が終わったときに、工事管理表(工事台帳)がでます。
いくらで請け負って、いくらで終わって、いくらの利益が出ましたという表なんですが、
それが一ヶ月分まとまってきまして、経営指標という表に移っていきます。
この経営指標は、みなさんが出してくれている工事管理表、会社の通知簿と考えてくれたら良いと思います。
経営指標から読み取れることって、ものすごくたくさんあります。
自社の強いお客さんはどこだろう?、自社の強い工事の規模はどれくらいだろう?
受付案件がどれくらいきたら、自分たちの会社は安定するんだろう?
新規さんOBさんの割合はどれくらいあるんだろう?
新規さんの粗利益と新規さんの粗利率の違いはどうだろう?
新規さんとOBさんの平均単価の違い?
新規さんとOBさんの平均粗利益の違い?
みなさんが入力していただいた数字を根拠に、一ヶ月間、まとめた数字がでてくるのが、経営指標です。
経営指標をいろんな角度で、分析しながら、自社の強みをどんなお客さまに、アピールしていって、
ご縁を結んだらいいんだということを勉強したらいいのかをやっているのが、経営指標勉強会です。
みなさんも社長さんが入れているコメントをみてください。
CRCの仲間のみなさんにアドバイスをもらっています。それに合わせて会社の舵取りをされています。
社長さんの言いだすことには、根拠がないわけではなくて、しっかりとその指標を出したものを発表して、
なおかつ、アドバイスをいただいて、自分も仲間の会社の指標をみて、
自社との違いであるとか、いろんなことを勉強しています。
みなさんもどんどんコメントを閲覧して、少しでも自分たちがやっていることの、
その先を感じてもらえたらいいかなぁと思います。
入力して、工事管理表を出すだけでなく、それをみてどういうふうなものに活用しているんだという
ところまでを感じ取ってもらうほうが良いかなぁと思っています。

web会を終えたあと

次の見積の改善のためには、工事管理表を出して、振り返らないと出来ないし、
工事管理表が出ることによって、経営指標にいくこともみなさんに伝わったと思う。

目的は、工事管理表を出さないことには、見積の改善ができないということ。
経営指標が出てこないことには、会社の航路の選定ができないということ。
このことは、答えとして出ているわけだから、これらを出すために、
それぞれの会社のなかのルールを見直していくことが大事。

たとえば、
管理事務職さんが、業者さんから届いた請求書をAccessに入力しようと思ったけど、どこの現場の請求か、わからない場合は、ちゃんと発注書を出しているのか?というところ。業者さんにお願いして、発注書に書いてある工事番号、工事名を書いて、請求書を届けてもらうようにする。

ほかには、職人さんが、現場で買い物にいって、現金で購入してきたものは、
どこの現場、何に工事で使ったのかを書いてもらい、伝票をまわして、処理をするようにする。

地域密着店の管理事務職さんが、中心となって、会社のなかのルールを整えて、
社内の体制をちょっとづつ変えていってもらいたい。

社内の業務がスムーズになると、先行管理表、日額表、工事管理表、経営指標が、正しく出てくるようになります。ぜひ、みなさんには頑張ってもらいたい。

←【前回】『利益の確保』の正念場!女性管理事務職さん

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